先日、ネットでちょっと賑わっていたので、映画「国宝」を観に行った。何とも、哀しい映画だった。
最初の長崎での窓の向こうに広がる雪景色のシーンと、ラストの鷺娘を演じてる時の紙吹雪の舞う場面が、美しく、印象的だ。
吉沢亮君は、全体に、キレイだが能面の様で、表情が少し乏しい様に感じた。大小の舞台に関わらず、着付けの仕上がる段階での"ハイ"と言う
返事が素敵。又、舞台での場面より、どさ回り中の屋上でのシーンが、空虚なのに、なぜか活き活きとしていて、とても良かった。
そのまま落ちて行ってしまうのかと一瞬思った。とても辛い場面ではあったが・・。
横浜流星君が、足を切断後演じた曾根崎心中のお初は、鬼気迫り、化粧が剝がれボロボロだったが、ひしひしと伝わって来る物があり、
女形は、お顔が細い事もあり、流星君の方が、似合っているかなと思ったりもした。
二人が、40歳位迄が昭和なので、喫茶店でのナポリタンとか、外の階段を上がって行くアパート、ちゃぶ台を
ひっくり返して指導するみたいな感じが昭和感満載だ。脇役の田中泯さん、いつどこに出ていても存在感のある方。
(初めて見たのは、[メゾン・ド・ヒミコ]) 高畑充希さん、渡辺謙さん、寺島しのぶさん、中村鴈治郎さん等、素晴らしい。
カメラマンとなった娘、綾乃が、再会の際に、父、喜久雄の成功は、どれだけの人が犠牲になっているのか、でも舞台を観ると、心がスーとする
みたいな事を告げる。 芸に全てを捧げる事を選択し、多少の紆余曲折はあったが、部外者が国宝という域迄、達したのだから、幸せなはずなんだけれど・・
落差がある故に、舞台で多くの人を魅了し、非日常を提供出来るのかも知れない。
以前、動画で以外に(失礼) 美しいと思った坂田藤十郎さんの女形を確認したくなった。
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