黒澤明監督作品の映画は、はっきりとは見てない様に思うが、途中からだが、「悪い奴程よく眠る」を、見る事ができた。
1960年の、モノクロの作品で、政官財の腐敗を告発し、不条理な死を遂げた父親の復讐の為に、いろいろと画策し、完遂する目前で、
復讐相手の、娘に心を許し、それが命取りとなり、逆に殺されてしまうと云う、衝撃的なラストで終わる。独立後の、第1号作品だそうだ。
巨大勢力の悪の前では、例え、正義でも個人など跡形もないという、社会に問題提起をする様な、攻めた話だが、
65年後の、令和の現代にも十分に通用するStoryだし、釘付けになった。他の作品も見てみたいと思い、
1963年、モノクロ作品「天国と地獄」・1980年、時代劇 「影武者」を、鑑賞した。

"天国と地獄"は、高台の豪邸に住む、大手製靴会社の重役、主人公権藤は、会社内の派閥抗争に勝つ為、自宅も抵当に入れ、自社株の買占めに
奔走している所へ、自分の子供と間違えて部下の子供が、誘拐され、払うと破滅する高額の身代金を要求される。葛藤するが、
払うと決断し、その後は、犯人逮捕迄の緊迫した展開が続く。研修医の犯人は、自分の住む低地の安アパートから見える豪邸を毎日眺めていると、
嫉妬から、次第に憎悪に変わったのが動機となり、犯行に及ぶ。犯人は、共犯者2人と他1人、薬物で、殺害しており、殺人罪で捕まり、死刑宣告を受ける。
執行直前に、犯人は、権藤に面会を求め、強がりを言うが、権藤が、静かに、"君はそんなに不幸だったのかね"と問う。
この言葉に、天国と地獄の格差を一番感じた。(犯人が自覚している欠如している部分を明確に指摘された様で)、残酷に響いたのでは。
金銭、地位、名誉に捉われず、人道的に判断し、生きる人が一番の勝者で、天国なのかも。
漠然としない点も、二、三あったが、その場を離れる事が出来ない程、一気に見れた。こちらもラストは突然で、強い印象が残る作品だ。

1980年の"影武者"は、磔寸前の盗人の男が、武田信玄の影武者に選ばれ、信玄の死後、3年近く影武者として務め上げ、無事放免となり自由の身となるが、
長篠の戦で、武田軍が、滅びるのを見ると、敵の鉄砲隊に突入し、被弾して命尽きるというラスト。外見と共に、魂迄持って行かれた男を、
哀れ、悲劇とも映るが、一方で、影武者の宿命とも言えるし、幸せな果て方だったと思いたい。
絵としての、比重が大きく、画面一杯に拡がる壮大で重厚な写実画を見ている様。セリフは添え物みたいな感じがしたから、
全体が、抽象的、幻想的なイメージ。その中で、主演の仲代達矢さんの怪演が、一体化している。
時代物だが、静の要素が強く、細かい内容より、素晴らしい映像の美しさを楽しむ作品なのかと思った。




もう一作品、撮影の宮川一夫さんの身内の人を知っているから、見てと言われて、気が重かったが、見てみたのが、
三島由紀夫の「金閣寺」が原作の、1958年,市川崑監督作品"炎上"撮影も素晴らしい様に思えたし(宮川さんは、名匠だった。)      
とにかく、面白かった。最初は全く分からなかったが、主役の潔癖で、純粋、金閣寺を絶対的な美と課し、
吃音のある青年僧を、演じた市川雷蔵さんが、秀逸で、足に不自由のある友人役の、仲代達矢さんも、若かりし頃、超イケメンで、演技も良かった。
最近,鑑賞した映画の中では、一番面白かった様に思う。


         




















 




















   


























        






      




                   











   



  

    





   










       

 




      







   




        





                   





   




     




   
   



         
 






          




      

    





     



     






         



  


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